岩崎ミュージアム第351回企画展(横浜画廊連携展)
吉田 直 展

「禁区との対峙」

2014年10月1日(水)~11月3日(月・祝)
[■横浜画廊 元町店 2014年10月18日(土)~11月3日(月・祝)]

その男の名、ブルー(2003) 禁区との対峙(2013) まどろみの中で(2005)

日々是(これ)奇跡

数年に一度は制作を中断せざるを得ないような怪我をする。
ドジといえば可愛げがあるものの要はたるんでいるのだ、とその都度自戒する。
チェンソーに指を引っ掛けたり、彫刻刀を滑らせ左手を刺したり...。
今回はデッサンをとめているベニヤ板を不安定な形で立てかけていた事を忘れ、
それを移動させようとしたらつま先に直撃落下させた。
激痛と出血。
直後は血の気が引いたものの、幸いにも数日間安静の打撲との診断。
包帯を巻かれた足元を見つめながら
大袈裟にも志賀直哉の「城の崎にて」を思い浮かべた。

たまたま自分(志賀直哉自身)の投げた石がいもりに当たる
つい先刻まで死とかけ離れていたいもりに突然の死が訪れる
生と死は両極ではなく紙一重の奇跡。

今回の怪我にしても、もう少し当たり所が悪かったら骨折に至っていたかもしれない。
また外傷以外にもある日突然、病魔が我が身に降りかからないとも限らない。
更に言えば普通に歩いていて、そこに車が突っ込んで来る可能性も0とは言えまい。
まさに石を当てられたいもりのケースである。

99年の初個展から15年目。
相変わらずの日々が続く。進歩の無い奴だとつくづく己を恥じ入る。
だが健康ではある。健康と共に素晴らしい方々との出会い、懐かしい方々との再会...。15年間の奇跡の日々を深く感謝する敬虔な自分もいる。
次の15年目は還暦かと思うと今までの歩みの遅さを省みてめまいもする。
だが歩みを止めなければ案外距離も伸びるだろう。
前を見据えて歩いていきたい。これからの奇跡の日々に想いを馳せながら。

2014年 吉田 直

●ギャラリートーク
ゲスト:中村隆夫(多摩美術大学教授)
10月11日(土) 14:00~ 於:岩崎ミュージアム

プロフィール

1969年横浜生まれ
1993年 東京造形大学彫刻家卒業
1995年 東京芸術大学大学院 美術研究科 保存修復技術彫刻専攻修了
1999年 個展 ギャラリー桂(東京銀座)
2000年 個展 岩崎ミュージアム(横浜・山手)
招待出展 TAMA VIVANT/多摩美術大学
トヨタコミュニティーアート/トヨタ自動車株式会社
2001年 大阪アートフェア(大阪・難波)
2002年 個展 岩崎ミュージアム(横浜・山手)
2003年 あさご芸術の森大賞展 【優秀賞・受賞】 (兵庫県・朝来市/あさご芸術の森美術館)
2005年 個展 アートスペース羅針盤(東京・京橋)
2006年 個展 岩崎ミュージアム(横浜・山手)
2008年 招待出展 TAMA VIVANT II/多摩美術大学
招待出展 CAFネビュラ展(埼玉県立近代美術館)
2009年 招待出展 第一回テレビ朝日アートフェア(六本木ヒルズ・テレビ朝日)
アクエリアス展/ギャラリー渓(東京・新宿)
2010年 個展 岩崎ミュージアム(横浜・山手)
個展 あさご芸術の森美術館 - 淀井敏夫記念館 - (兵庫県・朝来市)
2011年 個展 横浜トリエンナーレ2011連携プログラム(横浜・山手/岩崎ミュージアム)
2012年 特別展(招待出品) (横浜・山手/岩崎ミュージアム)
2013年 個展 (横浜/FEI ART MUSEUM)

関連HP
吉田直の世界
岩崎ミュージアム
横浜画廊